2016年8月5日

ストレージ仮想化ソフト「VVAULT」で大容量と冗長性の高さを同時に実現し、Windowsベースのユーザーインターフェイスで管理の手間も軽減できました。

日テレITプロデュースでは、テレビ局向けの番組情報提供サービスで利用された映像・音声データのバックアップを日常的に行なっている。テープバックアップからRAID対応NASへの移行を積極的に推進してきた同社だが、冗長性を優先するとディスク容量が低下するRAIDの特性は、大量のデータをバックアップしなくてはいけない同社にとってネックのひとつだった。そんな同社の悩みを解決したのは、従来のNASを統合して大容量の仮想ドライブとして利用できる「VVAULT」を搭載したNAS「HDL-Z4WSCRシリーズ」だった。

日テレITプロデュース http://www.ntvit.co.jp/

日テレITプロデュースは、テレビ局である日本テレビと、独立系ITベンダーである日本ビジネスシステムズの合弁で設立されたシステムインテグレータだ。日本テレビのユーザー企業として蓄積されたシステム構築・運用経験と放送エンジニアリング技術、日本ビジネスシステムズのシステムインテグレータとして長年培ったスキルを活かし、放送・メディア業界をはじめとしたユーザー企業に最適なITソリューションを提供している。

秋山 雅道氏

アプリケーション事業部長
秋山 雅道氏

財津 功靖氏

アプリケーション事業部 シニア・アプリケーション・スペシャリスト
財津 功靖氏

映像・音声データのバックアップにRAID対応NASを活用

日テレITプロデュースは、テレビ局である日本テレビと、独立系ITベンダーである日本ビジネスシステムズの合弁で設立されたシステムインテグレータだ。日本テレビのユーザー企業として蓄積されたシステム構築・運用経験と放送エンジニアリング技術、日本ビジネスシステムズのシステムインテグレータとして長年培ったスキルを活かし、放送・メディア業界をはじめとしたユーザー企業に最適なITソリューションを提供している。

同社では、テレビ局向けの番組情報提供サービスで利用された映像データや音声データをバックアップして保管している。「メインはあくまで音声ファイルなのですが、それでもWAV形式なのでけっこうな容量になります。」と語るのは、同社アプリケーション事業部 シニア・アプリケーション・スペシャリストの財津功靖氏だ。ひとつのファイルで平均4GBというから、一般的なオフィス文書などに比べるとファイルサイズは圧倒的に大きい。これを常時半年分ストックしているというから「ディスク容量はいくらあっても足りない」状態だという。

これらデータを保存するために、同社は過去数年間にわたり、テープバックアップから市販のRAID対応NASへの移行を積極的に推進してきた。「テープ装置は壊れやすいうえ、バックアップに失敗することもよくあります。バックアップソリューションは高価なものから安価なものまでさまざまですが、なるべくお金を掛けたくないという事情もあり、低価格化が進むNASへのリプレースをすすめてきました。」と、財津氏はこれまでの経緯を語る。

RAIDで冗長性を優先すると使えるディスク容量が低下するという悩み

これまでさまざまなメーカーのRAID対応NASを試してきたという財津氏だが、RAID対応NASには、メーカーを問わず起こりうるふたつの問題点が存在するという。ひとつは、NASが搭載する複数のディスクが、ほぼ同じタイミングで故障するケースが多いことだ。

財津 功靖氏
「RAID5で構成している場合、1台のディスクが故障してもデータは復旧出来ますが、同時に2台が故障してデータの回復が不可能になるケースが過去に何度かありました。これらを踏まえると、RAID5で運用するのは心もとないため、RAID1で組んでミラーリングの状態で使わざるをえません。しかしそうなると、利用できる容量が少なくなってしまいます。」もともと容量はいくらあっても足りない状況であるだけに、冗長を優先すると使えるディスク容量が低下してしまう問題は、財津氏にとって長年の悩みの種になっていた。
もうひとつ、本体そのものの壊れやすさも財津氏は指摘する。「ディスクもそうですが、本体の装置自体がこわれやすいんですね。」

従来使用していたNASを含めてひとつの
ボリュームとして構成できる「VVAULT」

財津氏が注目したのが、この製品に同梱されるストレージ仮想化ソフト「VVAULT」だ。「VVAULT」を用いれば、NAS内の複数のディスクはもちろん、これまで使っていたNASを統合し、ひとつのボリュームとして構成することが可能だ。これまでのハードウェア資産をそのまま継承しつつ、大容量のディスクとして運用できるのである。「従来のNASに比べてハードウェアのスペックが向上したことも評価していますが、導入の決め手になったのはやはりVVAULTです。」(財津氏)

今回の例では、新たに導入された「HDL-Z4WS12CR」に搭載される12TBの内蔵ディスクに加え、これまで使用していた4TBのNASを、ひとつの仮想ドライブとして構成している。12TBと4TBで、計16TBの容量になる計算だ。大量の映像・音声データを保管する同社のニーズにはぴったりマッチしているというわけだ。

もっとも、いくら大量のデータを保存できたところで、冗長性に難があっては重要なデータの保管には向かない。同社はこの構成を2セット用意し、一方をメイン、もう一方をサブとして運用している。「VVAULT」ではデータを別の仮想ドライブでバックアップする「ライブバックアップ(※1)」という仕組みが備わっているため、更新データも自動複製される。さらに、万一何らかの障害が発生しても、バックアップドライブから構成ドライブ内の別のディスクにデータを自動的に復元して利用できる「ライブリカバリ(※2)」という仕組みも備わっている。ユーザーは特定のディスクが故障していることをまったく意識せず、業務を止めずに運用を続けられるというわけだ。

また、特性の異なるディスクを組み合わせることから、同一ロットのディスクを複数搭載したNASでRAIDを組んだ場合に比べ、同時に障害が発生する確率も低くなる。ベンダー依存のハードウェアを用いるのではなく、従来使用していたNASを再利用することが、期せずして冗長性の向上に寄与しているのだ。データを書き込む際は、高速なストレージから順に利用する仕組みになっているため、古いNASの読み書きが遅かったとしても、全体のパフォーマンスを低下させることはない。

「これまでRAID対応のNASを利用する中で、同じロットのドライブは壊れるタイミングもほぼ同じになる傾向があると感じています。VVAULTでは仮想化によって各ドライブにデータをうまく分散することで、ドライブごとのアクセス頻度も違ってきます。いまでは、こうしたストレージごとの特性の違いを意識しなくて済むようになりました。」と、財津氏は「VVAULT」によるストレージ仮想化の効果を力強く語る。

「ティアリング」で従来環境からの移行も簡単 WindowsベースのUIも高評価

※3 ファイルを最適なストレージに自動配置する「ティアリング」

この「VVAULT」の導入手順は至ってシンプル。今回導入された「HDL-Z4WSCRシリーズ」にはあらかじめ「VVAULT」のProfessional OEM版がインストールされているので、リモートデスクトップで管理画面にログインし、仮想ドライブの設定と、追加ストレージ、つまり従来使っていたNASの情報を入力するだけで済んでしまう。

導入時にポイントとなるのは、従来使っていたNASを管理画面上で「低速ストレージ」に設定することだ。「VVAULT」には、利用頻度の高いデータを高速なドライブに移動させる「ティアリング」という最適化の仕組み(※3)が備わっている。そのため、従来使っていたNASを低速ストレージに設定するだけで、わざわざ手動でデータを移動させなくとも、高速ストレージである新しいNASへのデータ移行が自動的に行われるのだ。

このデータ移行は自動的に行われるうえ、移行中のアクセスにも対応するので、ひとまず移行を開始してしまえば、あとは放置しておいても業務時間中にデータの移行がバックグラウンドで行われる。今回の財津氏も移行作業について「特別な操作は必要なく自動で完了してしまった」と語るほどだ。移行完了後は、従来のNASをそのままバックアップドライブとして利用し、冗長性をワンランク高めた構成にすることも可能だ。

財津氏は、これらの作業および管理がWindowsベースのユーザーインターフェイス上で行えることを高く評価する。「UIがユーザーライクに作られていて、触ってすぐに分かるというのは大きなポイントですね。私自身がWindowsのエンジニアで、開発もすべて.NETで行なっているというのもあるのですが、バックアップの状況もすべてリモートデスクトップで見られるので、これまでに比べて管理の手間も軽減されました。」Windowsベースであることから、緊急時には財津氏に限らずほかのエンジニアでも対応が可能なことも、メリットとして挙げられるという。

ちなみにストレージ仮想化ソフトは他社からもリリースされているが、専用ハードウェアや年間費用などで何百万円ものコストがかかることも珍しくない。その点「VVAULT」はNAS本体の価格に初期費用が含まれており、さらに年単位の更新料も5万円程度とリーズナブルだ。仮想ストレージとして追加するディスクは従来利用していたNASに限らず、USBやeSATAといった外付ドライブにも対応するので、過去の資産を無駄にすることなく、低コストで容量の追加が行える。VVAULTの導入が、休眠状態になっていたUSBハードディスクやNASを再活用できるきっかけになることも多そうだ。

増え続けるバックアップデータに過去の資産を生かして対応できる「VVAULT」

同社が「VVAULT」を搭載した「HDL-Z4WSCRシリーズ」を導入して、これまで抱えていたバックアップにまつわる諸問題は解消された。

「バックアップによるデータの冗長化に加え、今回のVVAULTを導入したことで、二重の冗長化を実現することができました。また、今までは容量の関係で半年分のデータしか保管できなかったのですが、従来のNASを仮想ストレージとして構成したことで容量も大幅に増えましたので、今後は映像・音声データの保存期間も1年に延長していきたいと思っています。」と財津氏は「VVAULT」導入の効果を語る。

秋山 雅道氏
また、「データセンターで用いているテープバックアップ装置のメンテナンスに手間がかかっていますので、こちらも次のリプレースのタイミングで「HDL-Z4WSCRシリーズ」に切り替えていきたいですね」と、テープバックアップからの一足飛びでのNAS導入も視野に入れている。加えて、「他にもデータのアーカイブ領域としての利用や、データの2次利用環境としてBIにも活用できそうです。」と示してくれた。今後も活用の場は広がりそうだ。

さらに、今回の音声・映像系データのバックアップにとどまらず、社内の基幹系システム開発のデータバックアップなどへの導入を検討していきたいと語るのが、財津氏が所属するアプリケーション事業部を統括する、同社アプリケーション事業部長の秋山雅道氏だ。


「今回試してみて、バックアップ用途にはVVAULTの効果で大きな手応えを得ることができました。弊社は基幹系のシステムも開発しています。以前、大量人員による大規模開発において、各フェーズ毎で発生する成果物(変更履歴を含めた)保管領域確保に苦労した経緯があり、今後の各種プロジェクトにおいてVVAULT導入はぜひ検討していきたいと考えています。」

「HDL-Z4WSCRシリーズ」の導入により、過去の資産を生かしつつ、冗長性の高いバックアップシステムの構築に成功した同社。これまでNASを活用してきた事業者はもちろん、新たにNASの導入を検討している事業者にとって、貴重なデータのバックアップに仮想ストレージを活用する同社の事例は注目に値するといっていいだろう。

VVAULT
VVAULT® ストレージ仮想化ソフトウェア

Windows上にマウント可能なあらゆるストレージを一つに統合して大容量の仮想ストレージを手軽に構築できるストレージ仮想化ソフトウェアです。バックアップやレプリケーション機能をはじめとした先進的な機能群で、ストレージ運用の効率化と業務の継続性を徹底的に追求しています。

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